佼成10月号 心も体も傷つける「怒り」

怒りをどう抑えるか

 皆さんは、どの様なときに「怒り」の感情が湧きますか?受け入れられないこと、以前あったことを思い出して怒りになることもあります。怒りは、自然な感情なので「怒り」自体を無くすことはできません。大切なのは、「怒りの正体」や「原因」を理解して、自分や人に悪影響を与えない形で怒りを処理することです。 

 会長先生は、「瞋恚」の正体は、自分のおもいどおりにならないとか、人に軽んじられて怒ったり、人を恨んだりする「小我にもとづく自己中心の怒り」であること、怒りの感情をなくそうとするのではなくて、その感情をいかにコントロールするかが大事であることをお教えてくださっています。怒りのピークは「イラっ」としてから6秒後ともいわれ、その間に別の何かに心を移せば怒りが抑制できるといわれます。たとえば、「ゆっくり深呼吸する」「その場から離れる」「『~べき』という思いや考えを『相手の立場になる』『~ということもある』と変えてみる」ことが出来ます。 

 ご自身の「怒りの抑制法」を心得て、チャレンジしてみましょう

損して「徳」を得る

 自分が損をするように思えることも怒りや欲をおさえて受け入れ、身を削って人の役に立つならば、結果としてその人の「徳」が高まるものです。そういう「損」は、めぐりめぐって自分に喜びや心の安定をもたらすのです。

 高齢の父は、短期の記憶が薄れてきたため物忘れが多く、勘違いをしては「怒り」の矛先が私に向くこともしばしばです。み教えのお陰様で、言葉や行動の奥にある父の気持ちを考えることで、自分に湧く「怒り」の感情をおさえて父と触れ合うことを心掛けられます。先日、教会の方が父の手どりに行ってくださった後、「お父さんとお会いしました。西尾さんが来てくれるから助かっていると仰っていましたよ」とLINEをくださり、嬉しくなりました。 

  会長先生は、別のご法話で「損をするようなことを受け入れ、たとえ結果が不本意であったとしても、受け入れられたことで自分の心を大きく成長させる」と、「徳」が高まることをご教示くださっています。 

 また、人との争いにおいて「負けることができる」のが、平和を願う宗教の智慧とお示しくださっています。私たちは、「もともとは一つの大いなるいのちに連なる兄弟姉妹であり、大いなる智慧に照らせば『自他一体』」であります。怒りの対象となる相手と自分が一体とすると、相手に浴びせる罵詈雑言も「自分が自分に対して行っているのと同じ」です。仏さまの智慧をいただき『自他一体』といういのちの根源を自覚することで、“相手を慈しむこと・耐えること”ができるようになり「負けることができる」というのです。 

 ある未会員さんは、家庭教育に参加し、ご主人やお子さんへの触れ合い方を変えることを学び、実践することを繰り返すことで「ご主人やお子さんを思いやる心が芽生え」、家族の仲が良くなりご主人の態度が大きく変化したとご報告をいただきました。実践によって心の曇りを除き、自他の仏性に目ざめていかれた未会員さんの姿から、“素直な心で信じて行じる”大切さを学ばせていただきました。 

 今月は、「思いやりの心で、相手の立場にたって考えることで怒りの心をコントロールする」「開祖さまのお徳とみ教えをお伝えさせていただく」こと目標に精進して参ります。