佼成7月号 身心を養う「食」とは

四つの栄養

 仏教では、ほどほどの量の食事を感謝とともにいただくことを大切にしています。皆さまは、「食前感謝のことば」を唱えていらっしゃいますか?「仏さま、自然の恵み、多くの人に感謝していただきます」を真心込めて唱和させていただきましょう。

「四食」とは、①口から取り入れる飲食物の栄養②眼耳鼻舌身意という感覚器官をとおして、体や心に受ける情報という栄養③意思や意欲という心の栄養④経験や習慣によって根づいた意識や、先祖から受け継いできた知識にもとづく意識の心を養う栄養の「四つの栄養」です。食物が体をつくり、種々の情報や身心でうけとめる感覚などが心を育み、私たちは存在しているという仏教的見方です。今月は、盂蘭盆会の月です。合掌をしている姿や、お供物を供える姿等を子どもに見せる体験は、子どもにとって「心の栄養」となり、目に見えないご先祖さまを慈しむ心が育ちます。

人の生老病死をとおしていただく『心の栄養』は様々あります。私たちは、つねに人を思いやることのできる人間になるために、心に良質な栄養をとり入れることが大切です。

 

では、どのように栄養をとり入れたら良いのでしょうか。

何ごともバランスよく

 自他の仏性を開くような「食」、つまり感謝や思いやりにあふれる言葉と、人に寄り添うあたたかな行ないが、人としてよりよく生きるための「心の栄養」になります。ですから、過剰な欲や自分本位のものの見方といった毒がなるべく身心に入りこまないように、実際の食事同様、何ごとも「好き嫌いをいわず、適度に、バランスよく」を心がけることが大切です。

法華三部経に「法喜食」法を聞く喜び、「禅悦食」法を修行する喜びは、仏道修行にとって善根(善い行ない)、智慧を養う食物と示されております。身心に、貪瞋痴の三毒が入りこまないよう、少欲知足を心がけ、布施の心、慈悲の心、思いやりの心を大切にして、仏さまの教えを知る喜び、み教えを実践して安らぎを感じる喜びを大切にしていきたいと存じます。そして、人さまにもお伝えさせていただき、共にあらゆるお陰様に感謝して生きるなかに、仏の教えを学び、人にも伝え、あらゆるおかげさまに感謝して生きることを実践し、皆さまと共に健康で幸せな人生を歩んでまいりましょう。

私の今月の目標は、①食前感謝のことばを真心こめて唱和する②温かい思いやりの対話を心がける③布施行の実践です。