佼成6月号「季節の風物に心を寄せて」

自然にふれて感性を磨く

 「地球の美しさと神秘をかんじとれる人は、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることはけっしてないでしょう。たとえ生活のなかで苦しみや心配ごとにであったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たなよろこびへ通ずる小道を見つけだすことができると信じます。/地球の美しさについて深く思いをめぐらせる人は、生命の終わりの瞬間まで、生き生きとした精神力をたもちつづけることができるでしょう」(『センス・オブ・ワンダー』より)センス・オブ・ワンダーとは、「神秘さや不思議さに目をみはる感性」という意味です。この感性は、「大人になるとやってくる幻滅や人工的なものに夢中になることに対する解毒剤になる」と、著者のレイチェル・カーソンは訴えています。現代は、外に出なくてもスマホで季節の風物を見ることが出来、時間を潰すこともできます。幼児も、スマホ画面をスワイプして遊びます。今こそ、センス・オブ・ワンダーを呼び起こすことが大切です。

 若さや元気をたもつ秘訣は、「子どものころの素直な気持ちを忘れない」「大自然の営みにふれて感動する」「不思議に驚く」日常にことあるのです。

 

 それでは、なぜ感性を磨くことで命がつきるまで生き生きとすごせるのでしょうか。

黙々と真理を実行する自然

 美しいものや神秘的なものを見て「きれいだな」「不思議だな」と感動できる感性があれば、苦しみや悲しみさえ乗り越えることができる。豊かな感性は、苦悩から救われる道をみつける柔軟な心のはたらきにも通じていて、そのことによって命尽きるまで生き生きとすごせるというのです。私たちは、朝夕ご宝前の前で仏さまに手をあわせますが、仏さまはご宝前の中だけにいらっしゃるのではなく、私たちの内にも外にも満ち満ちていて、365日24時間私たちを仏の境地に導いてくださっています。そして、私たちの生活の中では、常に真理が働いています。「常に変化し、すべてがつながり合い支えあっている」ことに気づくには、感性が必要です。目の前の現象から、仏さまのはたらき・真理を観じる感性は、苦悩から救われる道をみつける柔軟な心のはたらきによります。真理のはたらきに気づくことで、心の安定と救いがもたらされます。

 病にかかった時、「変化」という真理は希望になり、サンガが祈願供養と導き修行を通して功徳を積んで振り向けてくださることは、「支えられている」感謝となって病気に向き合う力になります。「仏さまに護られている」「生かされている」ことに気づけると、とらわれから解放されて人の心を穏やかにします。そのような感性があることで、私たちは命尽きるまで生き生きとすごせるのです。人が見ていようと、見ていまいと関係なく、置かれた場所で咲く花のように、黙々と真理を実行する自然の一部の人間として、即是道場の精神でみ教えを実践していきたいです。私の今月の目標は、①身近な自然に目を向けて自分の感性を磨く②真理のはたらきを楽しみ味わい、出会う方々と語り合う③共に生き生きとすごせるよう「佼成」をお渡しすることです。